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京急 新1000形

2014/09/22 更新

 京急の最新形式である新1000形、快特から普通まであらゆる種別に対応する汎用車として増備が進められ現在京急の車両では最大勢力となっている。当初2100形の3扉車版として登場し毎年改良が加えられ、3次車で仕様が固まりかけた。しかし近年の鉄道車両規格統一化の波に飲まれ2007年からは車体をステンレス化しコストダウンを実現した。製造される毎に改良が加えられ変化に富む本形式をここにまとめた。現在8連22本6連12本4連25本の計348両、うちステンレス車は8連13本6連12本4連13本の計228両、多種多様な各次車毎の簡単な解説は以下のとおりである。

1次車

2001年度 8連1本 計8両

2002年度 8連2本4連2本 計24両

1001編成

 1001編成は新形式のためか年度末に製造され、2002年はあわせて8連3本と4連2本、年度は跨いでいるが両者に違いは無い。基本的に2100形と同様の足回りで2100形の3扉版という位置づけであった。台車は2100形とほぼ同じでTH-2100AM(T車はTH-2100AT)。M・T車でそれぞれ専用設計とされたが台枠の太さは一様、軸ダンパ受けは残されたが使用されていない。この台車は2次車まで採用された。また当初黒幕だったが重検時に白幕へ変更された。
 1次車は8連1本と4連2本から6連2本へ組み替えが考慮され、4連の中間車はSIVが1台ずつ配置され、浦賀寄りにパンタが増設できるようになっている。
 1401号車は試験車的扱いがなされ2003年3月から制御装置をGTO方式からIGBT方式へ、2004年12月からは種別・行先表示機を幕式からLEDに変更した。表示機は2006年2月、制御装置は同年4月重検時に元に戻され、前者は4次車、後者は3次車から正式採用されている。


1001編成 北久里浜-京急久里浜間にて (07.03.03)

2次車

2003年度 8連2本4連2本 計24両

1025編成

 先行仕様の1次車と量産仕様の3次車以降の間にあり少数派の感がある2次車。1次車との違いは、行先表示機の白幕化(ローマ字併記)、扉間の側窓を上方に拡大の上黒色1枚ものに、運転台塗料の変更など。側窓は拡大したがロールアップカーテンは変わらず設置され、端を持っても上げ下げ出来るよう工夫されている。また組み替えが考慮されなくなり、4連でT車に1台ずつ配置されていたパンタとSIVは品川寄りT車にまとめられ、SIVについては8連は150kVA1台に対し4連は75kVAのものを2台搭載している。その他の点については1次車と変わりない。


1025編成 羽田空港第2ターミナル口開業記念ラッピング 能見台-金沢文庫間にて (04.12.21)

3次車

2004年度 8連2本4連2本 計24両

1041編成

 アルミ車としては仕様が固まったと言える3次車。1401号車で試用したIGBT方式制御装置を採用、MT比はこれまでの1:1から3:1に変更された。台車はこれまで使用されていなかった軸ダンパ受けを省略しTH-2100BM(T車はTH-2100BT)になり継続採用中である。
 車内では車端部のボックスシートの形状が変化した。防災対策として車内天井通風口の素材をFRPからアルミへ変更し、全ての貫通路に仕切扉が付いた。また、消火器の設置場所がこれまでの車端部から中ほどに変更され、先頭車では車椅子スペースにあたり蓋が壁から突出しているが目立つ。一部仕様変更が生じるがこの後5次車までこの仕様が続いた。


1041編成 京急蒲田-雑色間にて (08.01.03)

4次車

2005年度 8連1本4連4本 計24両

1057編成

 4次車は3次車とほとんど差異が無いが、表示機がLED方式に改められた。LED表示機は運番がオレンジ1色(前面のみ)、種別はフルカラー、行先は白1色である。この年は700形置き換えの為か1年あたりの導入両数は変わらなかったが、はじめて4連の本数が8連を上回った。


1057編成 能見台にて (08.02.03)

5次車

2006年度 8連1本4連2本 計16両

1441編成

 アルミ製の車体としては最後となった5次車、4次車と同仕様である。この年度は24両製造されたが最後の8両は仕様変更が生じた為6次車に変更となった。


1441編成 金沢文庫-能見台間にて (07.02.07)

6次車

2006年度 8連1本 計8両

1073編成

 車体がアルミ製からステンレス製に変更となった6次車。ただし先頭車フロント部は塗装済普通銅が使用されている。車体素材変更に伴い車体構造が東急5000系をはじめとする東急車輛標準の台形断面となった。車体側面は無塗装化されたが赤色フィルムで赤い電車を表現している。
 制御装置は海外製から1500形VVVF化改造車と同じ国産に改められ、基本的に1500形VVVF化改造車と共通品が用いられている。VVVF制御装置は1500形と同様に車体の製造所によって製作会社が分けられており、東急製は三菱、川重製は東洋のものが搭載されている。またMT比は3〜5次車と等しいものの構成が変更され、2両1ユニットを基本としユニット間にT車が挟まれている。パンタはM1に必ず搭載、8連の場合これまで編成あたり4台であったが1台増設された。
 ドア間側窓は1次車以来の2枚窓であるが、本次車より片方は開閉が可能となり換気扇が省略された。踏切事故対策として運転台の嵩上げと運転室拡大がなされ、背後客台と側窓は廃止、この部分の外板にはKEIKYUのロゴが貼られている。また運転士背後の客室側壁には非常脱出用の梯子が納められ、直上の窓は既存車より縮小された。5次車まで車端部にあったボックスシートはロングシートに改められ、結果オールロングシートとなった。


1073編成 四ツ木にて (08.02.06)

7次車

2007年度 8連2本 計16両

1081編成

 6次車とほぼ差異が無いが客用扉開口部の車内側に黄色のテープが貼り付けられた。これは6次車にも波及している。


1081編成 金沢文庫〜金沢八景間にて (08.02.04)

8次車

2008年度 8連3本4連2本 計32両

1453編成

 7次車とほぼ同仕様でステンレス車としては初めて4両固定編成が登場、本年度は前年度繰り越し分を含め久々の大量増備の年となった(ただし、2008年度鉄道事業設備投資計画では32両新造となっている)。4連は機器構成上からか1500形以来のオールM編成となっている。
 製造所によって制御装置製作会社が分けられている点については6次車の項で述べたが、編成両数も分担しているようで、8連=東急=三菱、4連=川重=東洋となっている。なお川重で製造された車体は細かな差異(幕板の帯の太さなど)があるものの東急製に準拠した物になっている。
 パンタは両中間車の浦賀方に1台ずつ設置され、品川方の中間車(M1s1)は品川方にパンタ台が準備工事済みである。これは1次車同様、8連1本4連1本から6連2本への組み換えが考慮された組成となっている。
 7次車との違いは出入口部の床面を黄色標記化、優先席エリアの床を青色標記化、袖仕切り部の手すりを増設、優先席に黄色スタンションポールを増設などで、優先席付近の変更は一般エリアとの識別化が目的のようだ。


1453編成 金沢文庫〜能見台間にて (08.12.28)

9次車

2009年度 4連8本 計32両

1481編成

 1000形6連置換目的の1500形組換に伴う4連不足を解消するため4両固定編成のみの増備となった。仕様は8次車と同じで、残念ながら605編成で試用されている映像情報配信装置(トレインビジョン、乗降扉上部にLCD2面)は採用されていない。
 最初の2本(1457編成、1461編成)は2月中に甲種輸送が行われ東急車輛から久里浜工場へは深夜回送されたが、09年度入籍のため年度が変わるまでは特に動きが無く、年度が変わってから試運転が行われ営業運転が開始された。これ以降の編成は甲種輸送後、1週間ほどで東急車輛を出場し本線試運転後に営業開始という既存編成と同様の段階を踏んでいる。


1481編成 京急川崎〜港町間にて (11.01.01)

10次車

2010年度 8連3本4連1本 計28両

1137編成

 2年ぶりに8連が増備され、1137編成をもってクト牽引用の1351編成を残し1000形は営業線から撤退、2010年度末には1000形が廃形式となった。
 仕様は6次車以降大きな変更は無いが、乗降扉の鴨居部に扉開閉表示灯、開扉チャイム、映像情報配信装置(トレインビジョン)の設置などバリアフリー対策に重点がおかれた。その他、1457編成など8・9次車4連で試用されてきた乗降扉靴摺り部の黄色い注意表記を正式採用し乗務員扉にも波及、昇降ステップに滑り止めが設置された。乗務員室はトレインビジョン設置に伴い機器配置が変更され、行路表差しは600形と同じマスコン左に移り、その場所にモニタ表示装置(車上情報装置)が設置された。このモニタ装置は600形更新車と同じもので語通過防止機能付となっているため、京成成田空港線(成田スカイアクセス)を含め高砂以東入線可能となっている。


1137編成 堀ノ内〜京急大津間にて (10.06.21)

11次車

2011年度 8連1本6連3本 計26両

1313編成

 800形の置換えを目的として初めて6連が増備された。仕様は10次車と同じだが6連は1500形6連と同じく電連が非装備である。なお、一部編成で試用されていた車内LED照明が年度末に入った1313編成のみ正式採用となった。


1313編成 大森町〜梅屋敷間にて (12.07.24)

12次車

2012年度 8連1本6連2本 計20両

1325編成

 仕様に変更なく、年度末に入った11次車の1313編成と同じである。


1325編成 堀ノ内〜京急大津間にて (12.04.24)

13次車

2013年度 8連1本6連2本 計20両

1161編成

 13次車から車内案内表示器が1面に減り、スタンションポールに備わっていた仕切り板が省略されている。外観では先頭車にSR化準備工事が施された。


1161編成 杉田〜京急富岡間にて (13.09.27)

14次車

2014年度 8連1本6連3本 計26両

1355編成

 大きな変化はないが、回生ブレーキ、LED照明、主電動機が「平成25年度低炭素価値向上に向けた二酸化炭素排出抑制対策事業費補助金」によって整備された。


1355編成 追浜にて (14.08.08)

15次車

2015年度 6連2本4連2本 計20両

1805+1801編成

 竣工時期によって三様となった15次車。
 最初の1361編成は14次車の6連と同仕様となったが、1367編成では東芝製の駆動システム(全閉型永久磁石同期電動機および4in1VVVFインバータ装置)を導入した。
 そして新たに1800番台となった4連2本は車体デザインを一新、先頭車正面に貫通路を設け、併結時に行き来が可能となる構造とし、側面はほぼフルフィルムとすることで銀色の部分がほぼ無くなり赤とアイボリーの面積が増加した。なお、1800番台はそれ以外の基本仕様はこれまでの14次車以前と同じである。


1805編成 能見台〜金沢文庫間にて (16.04.15)

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製造
年度
車体 種別・行先
表示機
側窓 台車 制御方式 車端部
仕切扉
車端部
ボックスシート
車号・構成
1 2001 Al 黒幕

白幕太字

2枚緑色

TH-2100AM(T)
GTO
SIEMENS
1ヶ所/2両
1001〜1024
Muc-Tpu-Tu-Mu-Ms-Ts-Tps-Msc
2002
1401〜1408
Muc1-Tpu1-Tps1-Msc1
2 2003 白幕細字

白幕太字

1枚黒色
1025〜1040
Muc-Tpu-Tu-Mu-Ms-Ts-Tps-Msc
1409〜1416
Muc1-Tu-Tp-Msc1
3 2004 白幕太字

LED

TH-2100BM(T)
IGBT
東急=三菱
川重=東洋
1ヶ所/1両
1041〜1056
Muc-Tpu-M2u-M1u-M1s-M2s-Tps-Msc
1417〜1424
Muc1-M2-Tp-Msc1
4 2005 LED
1057〜1064
Muc-Tpu-M2u-M1u-M1s-M2s-Tps-Msc
1425〜1440
Muc1-M2-Tp-Msc1
5 2006
1065〜1072
Muc-Tpu-M2u-M1u-M1s-M2s-Tps-Msc
1441〜1448
Muc1-M2-Tp-Msc1
6 SUS 080222_1089-673H
2枚透明
なし
1073〜1120
M2uc-M1u-Tu-M1u'-M2s-Ts-M1s-M2sc
7 2007
8 2008
1449〜1488
M2uc1-M1u1-M1s1-M2sc1
9 2009
10 2010
1121〜1152
M2uc-M1u-Tu-M1u'-M2s-Ts-M1s-M2sc
1489〜1494
M2uc1-M1u1-M1s1-M2sc1
2011
1145〜1152
M2uc-M1u-Tu-M1u'-M2s-Ts-M1s-M2sc
1301〜1318
M2uc1-M1u1-Tu-Ts-M1s1-M2sc1
11 2011
1313〜1318
M2uc1-M1u1-Tu-Ts-M1s1-M2sc1
12 2012
1153〜1160
M2uc-M1u-Tu-M1u'-M2s-Ts-M1s-M2sc
1319〜1330
M2uc1-M1u1-Tu-Ts-M1s1-M2sc1
13 2013
1161〜1168
M2uc-M1u-Tu-M1u'-M2s-Ts-M1s-M2sc
1331〜1342
M2uc1-M1u1-Tu-Ts-M1s1-M2sc1
14 2014
1169〜1176
M2uc-M1u-Tu-M1u'-M2s-Ts-M1s-M2sc
1343〜1360
M2uc1-M1u1-Tu-Ts-M1s1-M2sc1
15 2015
1361〜1372
M2uc1-M1u1-Tu-Ts-M1s1-M2sc1
1801〜1808
M2uc1-M1u1-M1s1-M2sc1

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